存在の耐えられない拙さ

存在の耐えられない拙さ

PCだと1920×1080向けのデザインなのでそれ以上だと表示崩れます

駅放送を刻みなさいというお話

0時に予約投稿してるのにこの挨拶ってどうなんでしょうね。こんにちは。

 

私は大変な途中下車シリーズを作る所謂“下車作者”と呼ばれる人間ですが、それと同時に途中下車が大好きで頻繁に見ている“視聴者”の立場でもあります。

今日は作者としてではなく視聴者としてブログを書きます。

ひとくちに途中下車といっても色々あり、駅に焦点を置いたもの、実際に走っているように列車のように駅を順に刻んでいくものが特にメジャーだと思います。後者のような下車を聞いていると時々思うことがあります。

 

単調じゃね?

 

曲の始まりから終わりまで2分くらいに渡ってひたすら車内放送を刻んだ音声。たま〜に巡り合いますが、単調に聞こえてしまいます。

せっかく刻み上手いのに〜せっかく心地良いのに〜

 

惜しいなあ。

 

いつもそう思っております。

それではどうして欲しいかと言うと、タイトルの通り「駅放送を刻んでほしい」のです。

www.nicovideo.jp

こちらは誰もが認める素材ヤクザであるおあととさんの素晴らしい動画。東京、品川、沼津(静岡も?)で収録したと思われる接近放送が用いられています。

ムーンライトながらというのは夜行列車であるため、深夜帯の放送がないのにどうですか!駅放送がボリュームを補ってくれてるように思えませんか?車内放送だけ刻まれてたのとは満足感が違うと思うんですよ。

こういうことなんです、言いたいのは。

 

しかしこの世の万事は表裏一体。メリットというのはデメリットの裏面です。駅放送を入れるにもデメリットというものがあります。

 

それはなんといっても「取材が面倒」なこと。

 

よく分かります。だとしても刻んでアップロードすればきっと「わざわざ行ってきて良かった」と思えると信じております。そういう感性を持った下車作者が増えてほしい。

 

「わかりました!これからは駅放送も積極的に収録しようと思います!」

俺「うんうん(満面のオタクスマイル)」

 

…まもなく 1番s(ブチッ

お待たせいたしました 1番線には〜

「駅員クンさあ…(PCに取り込んだ際にもちろん消す)」

 

皆さんこういう経験ありませんか?駅員に被られちゃったことありますよね?

しかし私は思います。駅員放送というのも音声な味わいを引き立てるスパイスであると。

 

近鉄大和西大寺のように駅員がめちゃくちゃ喋る駅ありますよね?はっきり言って自動放送の方が欲しいし鬱陶しい。その気持ちよく分かります。

でも「駅員がよく喋る」というのは「その駅らしさ」なのです。

例えば上野の「ベルが鳴り終わりますとドアが閉まります」や御茶ノ水の「オレンジ色の/黄色い電車」、日根野の「と〜びらが閉まりま〜しゅ!」の駅員さんの放送など、駅にとってのアイデンティティにもなり得るのです。

 

今は消えてしまった動画ながら「へっぽこ京王最強伝説」という私の好きな動画があります。私はこの動画の中に出てくる、甲高い声をした調布の駅員放送がとてもクセになり何度も見返していました。

ついノリたくなるような勢いの良い曲調にテンポの良い自動放送のセリフ合わせ、そこに割って入ってくるのは自動放送のインパクトに負けず劣らずの通る声での「調布、調布、調調調布です 1番線は 急行橋本 次は 京王稲田堤止まります 競輪場*1には停車 しません」という駅員放送。

あの動画を見たことのある方なら、この魅力を分かって頂けるんじゃないかと思います。

ちなみに何年も経ってから知ったのですが、この方は「ヘリウム車掌」と呼ばれているらしいので、今は車掌になったんですかね。明大前の駅員をやっていた時期もあったようで、一度くらいお目にかかりたかった。

 

駅員放送含め、駅放送というのは音声をより充実させてくれるものだと述べてきました。

実際駅の自動放送を上手く使っている音声というのはまあまあ見ますが、その割に駅員放送を活用している作品というのは音声はあまり見ません。

上でもいくつか例に上げさせてもらいましたが、ここからは駅員放送を上手く使えている、私がとても好きな作品を語ってこうと思います。

 

とある科学の立川

soundcloud.com立川といえばめちゃくちゃ駅員が喋る駅。私も収録には苦労しました。

駅員というのはやはりプロの声優ではないので、自動放送に比べるとどうしてもハリがなかったり通りにくい声だったりすることが大多数です。つまり駅員放送でだんだんと盛り上げていき、一番盛り上がるところには自動放送で一気にドーンとやりたくなっちゃいます。少なくとも私は。

しかしこちらの音声ではサビ部分に駅員放送を持ってきています。ここを特に評価したい。なんてハイセンスなんだ。

先日投稿された「年末交通合作2022」においてもしっかりと駅員放送を使っていますし、さすがちゅうとくさんです。

なかなか勇気のいる構成だと思いますが、効果音なども上手に使ってしっかりと盛り上がりを損ねていない。プロすぎますね。

 

-枯るゝ赤城の 風はいづこへ-

soundcloud.com疾走感溢れる気持ちいい刻みのファンの方も数多いであろう、ハエニッパさんの音声です。

ハエニッパさんは駅員放送や車掌放送の扱いに特に長けている方だと見受けていたのですが、こちらの音声は真骨頂を発揮しているものだと思います。

この音声の題材となっている185系国鉄時代に製造された車両で、引退するまで一切自動放送が積まれなかったのはご存知の方も少なくないかと思います。肉声放送が多くなるのは必然であり、実際4分にも渡り自動放送は全く出てきません。しかし聞いていて飽きることは全くありません。

私は特に1:25あたりの「今度13番線の列車は〜新特急列車なすの7号 黒磯行きです お下がりくださ〜い まもなく列車 到着で〜す」という刻みがめちゃくちゃ好きで本当に好きでたまりません。

盛り上がりのピークはこの後の車内放送が刻まれているパートだと思うので、あくまで前座の盛り上げ役でしかないのですが、それでもここまで癖になってしまうのは一体…ハエニッパさんの音声は他にも肉声放送をめちゃくちゃ上手に使っているものがたくさんあるので、ぜひ聞きまくって耳を溶かしましょう。

 

"Nessem Dorma" SOTETSU Remix

soundcloud.comオペラかなんかの曲なんすかね?メロディになんとなく聞き覚えはあるものの何の曲なのか分からないです。

まずは湘南台から横浜まで各駅停車の車掌放送を刻み、横浜からは特急の自動放送を刻んでいるのですが、とにかく使い方が上手い。

前半部分は各駅停車の車掌放送が主体なのですが、その間に二俣川と星川の駅自動放送を用いてくれているおかげで聴いていて飽きません。

そして1:14あたりからは曲としても盛り上がる局面なのですが、しっかり自動放送を使って音声全体として盛り上げています。駅員放送について語ってるはずなんですが、こういうセンスの良さも見逃せません。

そしてそして1:28あたり、ここが素晴らしいんです。大和の駅員放送を刻んでいるここ。車掌放送が主体だった流れの中で自動放送を刻んでいた先ほどとは対照的ながら、飽きを感じさせないでくれるという根幹は変わらないものです。好みグサグサ刺さりすぎて蜂の巣になりました。

そもそも音作りや効果音の扱いがめちゃくちゃ上手。教科書に載せてほしい音声です。

 

ときなつ【上越新幹線 × ルミナスデイズ】

youtu.be音上手い、動画上手い、絵上手い、文章上手い…うちの界隈のチート的存在であるくろしおりさんの動画です。

エモさで満ちているこの動画なんですが、本庄早稲田とか熊谷とかいちいち駅員放送使われてるんですよ。めっちゃ良い感じに仕上がってます。

しおりさんとは通話などで何度か下車について一緒に話したことがあるのですが、感受性が豊かで発想がとても柔軟ゆえになかなか思いつかないようなポイントを掘りさげていき、しかもそれがきちんと建設的な話として成立するんですよね。

こんなところ着目するの!?⇒...なるほどなるほど⇒こんなに話せるとは思わなかったし、めっちゃ有意義な話だったなあ。みたいな感じ。

そしてこの動画に限らずなんですが、しおりさんは様々な音を用いて臨場感を出すのがあまりにも上手いです。視聴している人間の感覚を支配するプロで、ASMRのような感じ*2駅員放送というのは、このような使い方も出来るわけです。

そもそもながら本庄早稲田や熊谷の放送をまず録ってるというのが素晴らしいですよね。わざわざ行くのが割と億劫な感じもしますし、行ったところでこの放送を録ってくれる、というのがです。

歴を重ねていてもなお途中下車に真剣な姿勢が感じられます。憧れの作者が今も第一線で輝き続けている姿を目の当たりに出来るというのは、とても幸せなことです。

 

「Chiyodagest」

soundcloud.com今は亡き、途中下車で聞きに聞きまくりまさに「親の声より聞いた」と言っても過言ではない千代田線の旧放送をふんだんに使った素晴らしい音声です。

ただでさえ駅放送をたくさん使ってくれて私はとても満足度ゲージが高いのですが、特に声を大きくして好きだと言いたいのが0:55あたり。

プープププププ(営団ブザー)

発車いたします

はいドア閉まりま〜す←これこれこれこれ!ここの駅員放送がめちゃくちゃ良い!

東京メトロの駅員って自動放送任せで全然喋らないことが多く、ドアを閉める際に一言だけ喋るみたいな人がすごい多いんですよ。実際駅員放送が刻まれているのもここだけ。一撃でしっかりとコアを射抜いており、本当にハイセンス。

しかも勢いを全く損ねていない。自動放送と駅員放送を比較したときに、インパクトで劣るのはやはり駅員放送だという話はしましたが、しーーーーっかりとサビへのステップとしての役割を果たせています。堪らない。

 

京成の高砂【京成線×東方輝針城3面道中曲】

nico.ms京成高砂京成本線北総線/成田スカイアクセス線が分かれる駅であり、特に成田空港への利用客からすると注意が必要な駅です。

それゆえに高砂には立ち番がおり、立ち番が常に喋っているのが高砂アイデンティティまであります。

いやね、本当にこの作品は高砂み”を出すのがめちゃくちゃ上手いんです。高砂に行ったことのある方なら分かってくれると思います。

駅員の声も良いですよね。通りやすい高めの声がたまりません。高砂の駅員放送は私も京成合作で使いましたが、この動画が好きすぎる故にこれくらいハリのある駅員放送を欲してしまい、何度も何度も通ってしまいました。

そしてサビでアクセス特急を持ってくるセンスも素晴らしい。ここが各駅停車なら物足りなさを感じていたことでしょう。

一旦落ち着いたパートに金町線を持ってきて、再度盛り上がる際には京成本線の特急成田スカイアクセス線アクセス特急の放送が刻まれているのも、曲と京成線をしっかり理解した上であろう、最適な組み合わせです。

そんな高砂も去年の8月いっぱいで上りホームの立ち番はラッシュを除いていなくなってしまいました。時代です。

 

桂川駅】ステーション・オブ・カツラガワ【JR京都線

www.nicovideo.jp

このリンクは再UPですが、元動画は2008年10月19日投稿というなんと足かけ15年も前の動画です。だいぶ前の動画ですが、実は好きな動画なので紹介させてください。

素材はJR京都線桂川(かつらがわ)駅。途中下車を見ている方々にとっては福北ゆたか線の通る桂川(けいせん)駅の方が聞き覚えがあるかもしれません。

そしてこの桂川駅というのは新快速はおろか快速すら止まらない1面2線の駅。「ステーション・オブ・ナイツ」といえば大阪や北千住など、大きい駅で制作されるイメージの方が強いかもしれません。

ナイト・オブ・ナイツにおいて、普通電車しか止まらないような駅を素材にする、今では少し珍しい気もしますが、当時は駅に限らず列車などでも気軽にナイツが作られていたこともあり、そんな固定観念も薄かったのかな?私は2013年から下車に触れている身なのでそこまで分かりません。

そのような背景的な話はさておき、この桂川駅というのもホームがカーブしており駅員がわざわざ出てくることが多い駅です。しかも自動放送を消しまくってめっちゃよく喋る。

そんな桂川の駅員放送をしっかりとモノにしてる感じがするんですよね。駅員放送を手懐けてる。結果普通電車しか止まらないような駅を扱っているにも関わらず、退屈することなく見ることが出来ます。自動放送だけ刻んでいた

 

長々と語ってきました。刻みというのは素材の選りすぐりを含め構成も作者のアイデンティティであり、特にこれを強要するつもりではないのですが、魅力に気づいてくれるオタクが1人でも増えれば良いなあ的な記事でした。

 

クリスマスや年末年始も瞬く間に終わり、早いもので1月もまもなく中旬。一層冷え込みますね。しかし私はこの記事を去年の12/23に書いて予約投稿しているので、猛暑日が続いてたらすみません。

では。

*1:京王多摩川が競輪場最寄りなことに由来する動画内のネタです。

*2:ASMRを聞いたことは全然ないので違うかもしれない