存在の耐えられない拙さ

存在の耐えられない拙さ

PCだと1920×1080向けのデザインなのでそれ以上だと表示崩れます

一枚一枚、丁寧に拾う。【Fallen Leave"S" II】

こんにちは。久方ぶりです。最近は下車の人たちと関わる機会もめっきり減っちゃったのでマジでお久しぶりです。

 

さて先日、動画を投稿しました。

www.nicovideo.jp

このブログを読んで頂いている皆様ならご存知なのではないかと思います。そのくらいの自信作「Fallen Leave"S" II」

この動画の素晴らしさと言ったらスタイリッシュで綺麗な映像。表現の一つ一つは薄味でありつつも、新鮮な表現も織り込まれており決して飽きることはなし。まさに絶妙、プロの犯行。なんでこんな綺麗な動画になるの?

そして見れば見るほど、噛めば噛むほど、旨くなる動画であると考えています。動画作者たる和菓子さんも、この通りブログで動画を丁寧に振り返っております。

uimemo.hatenablog.com

熱量がすごい。投稿した翌朝の4時くらいに書き上げてなかったか?寝てくれ

動画ほどキラキラしたものではありませんが、音声作者の視点でもこの動画について細かく振り返っていこうと思います。タイトルの「一枚一枚」とは、伏線をはじめとし動画に散りばめられた数々の要素をこのシリーズのキーである落ち葉にたとえました。丁寧に拾ってまいりましょう。

なお、波形のスクショなんて貼っても意味わかんないので、本編のキャプチャを貼りながらその辺の音声についてぐだぐだ書き連ねていこうと思います。

 

そもそも

合作をするに至る経緯について、ちょっとしたtips程度に書き留めておきます。5年前くらいの話なので解像度は低いかもしれません。

YouTubeのコメント欄でも書きましたが、2人で合作をしたいという話になった際、確か真っ先に素材として候補になったのは小田急の箱根の方だったと記憶しています。Next Takaosan*1投稿直後あたり、2019年7月くらいだった気がします。

一方で相鉄がJRとの直通を始めたのが同年11月30日。つまり7月ともなると鉄道オタクの話題にも挙がってくる時期。「相鉄の方が面白そう」それくらいのノリだった   と   思います  多分

原曲を持って来たのは確か自分。開業日の11月30日というのは言わずともがな秋の暮れ。「Fallen Leave」というタイトルはぴったりです。あとは原曲の盛り上がりとか雰囲気とか総じて作りやすそうだなあとフィーリング的な面でもピンと来たから。クリエイターにフィーリングは大事です。

 

落ち葉拾い

ミレーの絵で拾ってたのは落ち「穂」でしたね。ジャン=フランソワ・ミレーの絵画「落ち穂拾い」は、19世紀のフランスにおける、貧しい農民を描いた油絵です。旧約聖書の「レビ記」には「穀物を刈り取るときは、隅まで刈り尽くしてはならない。貧しい者や寄留者のために残しておきなさい。(概略)」という教えがあり、その教えに従った畑の主により残された落ち穂を拾っているさまが描かれた作品です。しかしご安心ください。この記事においては「拾い残し」をするつもりはありません。

どうやら私はこのように何かの作品を引用した上で準えることが好きなようで、動画の説明文も前作は和歌、今作は歌詞を引用しています。前作の歌はこちら。

鴨鳥の 遊ぶこの池に 木の葉落ちて 浮きたる心 我が思はなくに万葉集 巻四 / 丹波大女娘子)

高校の授業中に便覧から引っ張って来た歌だった気がします。2020年当時の自分が高校生だったという事実に戦慄。

「木の葉」という単語が用いられているのがポイントですね。何よりタイトルとかかってますから。それでいて意味もある程度通る歌を持って来ました。歌を詠んだ丹波大女娘子の心境と、100年の想いをのせて都心に直通を始めた相鉄の景況を重ねて解釈し、説明文に落とし込みました。お次は今作。

吹き飛ばされる枯葉の舞に 空一群の星は沸く
なお幾万の風さえを分け 着地の時を見逃すまいと(確率の丘/平沢進

オタク大好き平沢進の「確率の丘」のワンフレーズ。当初は今作においても何か和歌を持ってこようと思いましたが、下車の説明欄に和歌を持ってくる例をたまに見るようになったので逆張りたくなりました。「枯葉」というキーワードが含まれており、かつ歌詞の解釈の上で、今作のコンセプトとも矛盾がないものであると考えております。

街のあらゆるが落ち葉で埋め尽くされる様子は、寂寥とした美しさを演出する。
新宿行きがはじめて走った秋の暮れの日は、そんな情緒ある肌寒い日であった。
トンネルはさらに掘り進められ、第二の念願が春一番となり遂に吹き抜ける日。
さらなる直通に沸く星々は、葉が舞う瞬間を決して見逃さまいと、目を凝らす。(Fallen Leave"S" II 説明文より)

実は!実は!実は!4行とも文字数がピッタリなんです!!!文字数合わせるのめちゃくちゃ大変だった。自信作です。

前置きが長く恐縮です。ただそれはこの動画の味わい深さ、決して動画が全てではなく、それを皆さんにも吟味して頂きたいということの裏返しでもあり、そのような要素からお楽しみ頂ければ幸いです。作品本編のお話をしたいと思います。

見て聞いて頂ければわかる通り、作品の冒頭は前作からの繋がりを強く意識しています。音声は前作そのままでありながら、VSTをかけてノスタルジーな雰囲気を心がけつつ、以後の演出のためにあえて「軽め」に手を入れています。実はここの演出は、とある音声を聴いて以来ずっと自分でもやってみたかったものでした。

on.soundcloud.com

東海桜やHakutariaでお馴染み、逸Pさんの「高崎桜」冒頭がまさにです。不朽の名作たる「東海桜」の終わりを持ってくるの良すぎ。しかし前提としてこのような洒落たことをするには、「持ってくる作品が広く知られている名作」である必要があり、やみくもにやったところで微妙になるだけであり、決してハードルの低いものではありません。

そういう面からなかなか手を出さずにいましたが、今作を見てくれる人ならさすがに前作も見てくれてるだろ!くらいの勢いでやりました。今作ではこのように、前作を意識した演出や構成が多々あります。

JR東日本をご利用…のレチは新宿行き一番列車と同じ人。もちろん前作との繋がりを意識しています。どうでもいいけど渋谷で地下潜る演出は、実は俺が口を出して変えてもらいました。JRと東横の乗り換え不便すぎ。

東横線のパート。

ひとつ前のJRのパートにおいては「本日11月30日より…」という放送がありますね。ここの東横線のパートは時間軸で言うと「2019年11月30日(JR直通開業日)〜2023年3月18日(東急直通開業日)」の間ということになります。

この東横パートも、後の目黒パートも、相鉄が直通するまでの日常を表しています。このように直通するまでの日常、2023年3月17日までの東急線をあえて描写することで、「相鉄が直通する」ことが際立つと考えました。

また相鉄直通の開業日は東横線にとってもワンマン運転が開始された日でした。「この電車は 自由が丘と 菊名で 各駅停車にお乗り換えができます」という車掌の放送は、東横線ユーザーなら耳にタコが出来るほど聞いたであろう放送。しかしワンマン運転が始まり、このフレーズは自動放送に置き換えられて聞く機会も少なくなりました。何気ないワンフレーズも、時間軸の演出にしっかりと貢献しています。

次に「この電車は馬車道日本大通りには止まりませんのでご注意ください」という自動放送。実はみなとみらい線の駅放送は2020年8月に合成音声に更新されており、今は聞くことの出来ない放送です。しかしJR直通開始からしばらくの間は使われていた放送であり、時間軸的にも問題ありません。下車タグにおいて東横線みなとみらい線の動画はとても多く、この旧放送に馴染みのある方も少なくないはず。

音合わせの雰囲気が一気に変わって目黒線パート。

大岡山行きは2020年3月〜2021年1月にかけて走っていた目黒線の上り最終。奥沢行きを一駅延長することで、大井町線との接続を図り利便性が向上しましたが、どっかのウイルスで呆気なく消えました。これも走っていた時期はJR直通〜東急直通の間であり、もちろん意識しています。ちなみにここの電光掲示板を用いた動画表現は紛うことなき天才です。

大岡山終が大岡山に到着し、次に出てきたのは日吉行き最終電車。当時の大岡山終が大岡山に着く頃にはとっくに日吉終は発車していたはずですが、ここは動画ということでご愛嬌。

日吉終の接近放送はしっかり大岡山で録ったものです。これ録ってからチャリで横浜の自宅まで帰りました。家着いたの3時くらいだった。地獄?

日吉行きは、日吉止まりだということを強く意識出来るように刻みを組みました。この時点では日吉より先へは行かないから。ちなみに車内放送を録ったのは全然日吉行きの終電ではなかったと思いますが、接近放送のおかげで日吉終ってことになってるでしょう。当時から目黒はワンマンだったからそんなバリューないし...

終車なのは前作でもこのあたりはかしわ台終と海老名終だったのを意識しています。もし動画に朝と夜があるとすれば、サビはもちろん朝になります。となるとサビ前のこのあたりは夜であり、最終電車というのはそのような解釈をする上でも相性抜群。動画の雰囲気の良さが際立ってていいですね。

最後に差し込まれているのは目黒線南北線三田線埼玉高速鉄道線2023年3月まで使われていた旧発車サイン音目黒線系統においても、相鉄直通の引き換えに消えて行ったものをしっかり使っています。音無川の流れ俺はめっちゃ好きだった。

ここでサッと出てくるタイトルには痺れました。線が引かれてくのも良すぎですね。ここから懐古パートに入ります。作っててここが一番楽しかった。なおここまで相鉄を全く出さず、JRと東急だけでこなしてきたのはここのシーンの迫力を一層際立たせたかったから。一番最初が武蔵小杉からだったのはそういうこと。休止した相鉄の急行も実は使いたかったんですが、そういうわけで使いませんでした。

2020年のFallen Leave"S"をハイライトして振り返ります。シーンの選択にあたっては、何人かに好きなシーンを聞いて回ったりもしました。

特急横浜行きは俺が好きだった。

海老名方面は降りたホームで…は誰かが好きって言ってくれた。俺も好き。

かしわ台終と海老名終も好評だった上に、この後の動画の流れ的にも好都合だったので入れました。

遂にJR直通の一番列車が海老名を発車。夜が明けるごとく音声全体にかかったVSTも段々と薄くなっていき、サビに向けて畳み掛けていきます。

大和、二俣川、西谷、羽沢横浜国大…と停車し、羽沢横浜国大の発車放送が流れます。

ここで遂に特急小川町行きが登場

一気に畳み掛けて来たところでどーんと出てくるの最高にクールな構成じゃない?実はこのような構成になったのはやむを得ない事情も兼ねています。

実は特急小川町行きも特急新宿行き同様、一番列車を収録したのですが、なんと特別放送の類が一切なし。東横はワンマン運転が始まってたので大して期待してなかったんですが、さすがに相鉄の車掌も何も言わないのは想定外。

特急小川町行きの相鉄線内の尺は出来る限り短くし、特別放送のなかった寂しさを誤魔化しつつ、良い感じに仕上げられたと思います。

まもなく〜という刻みは一番盛り上がるところにしてはシャバい気もしますが、この開業で一番のキモである新横浜なので許されたいです。

綱島も新しく開業したので、他の駅よりも気持ち長めに持ち時間があります。

「Arriving at…」という英語放送は、実は相鉄直通直前に登場した東横線車内放送の新フレーズなのでここで採用。01K 急行新横浜行きを作ってた俺はもちろんそんな更新がされるなんて予想もつかなかったので「We will soon make a brief stop at…」という、当時現役であった更新前のフレーズを使ってます。

渋谷に到着し、男声の接近放送が鳴ります。みなさま大好きの答え合わせパートです。乗車録の反響が凄かったので絶対入れようと思ってました。01Kの時は知り合いの下車作者に吹き込んでいただいた新綱島のパーツ。今回はしっかりと自動放送の声で流れていますし、それを強調したかったのでちょっと目立つように工夫しました。

新横浜到着の際にひかりチャイムを入れようか悩んだものの、音声全体の雰囲気と相性を考えて敢えてやめました。

新横浜からはいずみ野線の特急湘南台行き。JR直通の際に消滅ということで前作には「消える側」として出てきましたが、復活を果たしたのは見事です。発着が横浜ではなく直通線、そして車両が東急車というのも前作と対照的で良い。使わないわけがありません。

いずみ野の待ち合わせも無論前作をイメージして音声を制作。

湘南台に到着し、今度は各駅停車で横浜に上ります。これはお気づきの方も多くいらっしゃったと思いますが、前作冒頭のオマージュです。それでいて東急車の各停というのは直通が始まった証。締めとして申し分なし。

もちろん前作同様、自動放送は英語放送のみを淡々と刻んでいきます。ドラムのみ入れて音合わせはしていません。

約4年の歳月をかけて、横浜から始まった物語が横浜で終わりました。ありがとうございました。

 

これでもかというほど様々なオマージュに溢れていた今作。私ごとながら、推理小説やドラマなどのフィクションにおいて、丁寧に長い時間をかけて張られた伏線が回収されるのがとてつもなく好きなんです。そしてそれを「提供する側」になれたのがめちゃくちゃ満足度高いんです。電車の動画ひとつでこんなに色々出来るの凄くない?3Dをはじめとした理系的な新表現が台頭しているのに対し、超絶文系的なアプローチが出来たんじゃないかと思っています。

 

最後にひとつ、すごく嬉しいツイートがあったので貼らせてください。

もしかして:神?

褒められるとモチベーションすぐ湧くチョロすぎ作者なんで、こうしっかりと目に見える形でお褒めいただくとガチで機嫌いいです。下車作者冥利に尽きます。嬉しすぎて大回転しています。

ブレーキね、俺も大好き。聞くだけで相鉄だって分かる音なの使いやすすぎたし迫力も十分。

音合わせね、前作から相鉄9000、相鉄8000、サビの相鉄12000、今作は西大井の発メロ(春)、東横のドアチャイム、東急3000、サビの東急5050とか色々、とめっっっっっっっっっっちゃこだわってたんですよ。マジでおっしゃる通り会社とか路線によって。

自分は冗談抜きに音作りが結構苦手な方の作者なんで、音合わせをこう褒められるようになるくらいにまでなれたというのは嬉しい、本当に。

刻みの畳み掛けも意識してたので、それをしっかり分かって頂けるとは本当に理解のある方で最強です。こうお一方のみに返事をするのもあまり良くない気もしますが、分かってる方だったんで書かせてください。Twitterもうほぼやめてエゴサ全然してないので何卒。ツイートを教えてくれたオタクもありがとう。

 

というわけで、最後にもう一度宣伝です。

www.nicovideo.jp

www.youtube.com

前作と今作をつなげた音声もSoundCloudにあげたので是非聞いてみてください。合わせるといっても5年も経つと音の作り方も変わっており、違和感のない聴き心地にすべく諸々の調整を加えているしっかりと手のかかった音声です。

ちなみにジャケットはこれ用にわざわざ用意して頂きました。よろしければどうぞ。

soundcloud.com

次は単作ですね。これはTaka o step Forwardのコメント欄。

このコメントがほぼ1年前なのでもう実質3年が過ぎている

出すために動いてはいます。出せるとは言ってないです。それくらいのノリで待っててください。では。

“空母”という粋な訳し方を掘り下げる

大病院占拠の最終回見ました?めっちゃ良くなかった?たしかにCGとかすごい安っぽいところもあったけど、シナリオとか伏線の張り方が丁寧だと全部許せちゃう派です。あと裕子先生めっちゃかわいかったね、こんにちは。

 

2023年も1/4が過ぎようとしています。なんともう3月も下旬。私は花粉に苦しむ毎日です。

去年末あたりはブログ書くのめっちゃハマってたんですが、気づけばしっかりと勢いは衰えてしまいました。こうなることは自分が一番分かってたというのがまた恨めしく。

このブログには数年単位で放置されていたという前科があります。なので最低限でも月1くらいで記事を出していかないと次の記事を書くのはいつになるのかマジで分からんす。

このブログのどっかで言ったかすら覚えてませんが、今年のこのブログの目標はそもそも月1投稿ということで、今月の錆取り的な、結構どうでもいい記事を書いていこうと思います。

錆取り記事といえば今月を振り替える的な記事がメジャーですが、私は順張りに呑まれるのがなんとなく嫌なのでマジでネタが枯れるまで書きません。あとは旅行の様子を特にテーマなくなんとなく記事にするのも順張りなのでなんとなく敢えて避けています。

あ、読む分にはめっちゃ楽しいので全然書いてくださいね?ただ書いてると負けた気分になるのが嫌なだけのひねくれです。スターつけたりつけなかったりしますので皆さんの記事もお待ちしております。

 

本題。皆さんは「空母」という単語をご存知ですか?

航空母艦(こうくうぼかん、英: aircraft carrier)は、航空機を多数搭載し、海上での航空基地の役割を果たす軍艦。略称は空母(くうぼ)。

引用: 航空母艦 - Wikipedia

つまりは飛行機が発着できる軍艦。船自体を戦力とするわけではなく、積載している飛行機を主として戦います。

そのような船を指す航空母艦を略して空母と言っているわけです。現代の公的機関も普通に「空母」を注釈なしで使っているあたり、いかに浸透した単語であるかが分かります。

www.city.yokosuka.kanagawa.jp

そんな「空母」なんですが、私は初めて聞いた時よりこう思っています。

 

「空母」って単語すごく趣あると思わない?

 

だってだってさ、空母って空の母。小学生か中学生の頃だったと思うけど、ロマン溢れるこの響きにたいへん感銘を受けました。

 

今から80年前の太平洋においては戦術根幹の方針が異なる二つの海軍大国が国の命運を背負って戦っていました。大砲なんかを載せた船自体で戦うのが主流であるとして戦艦を重視していた日本軍、いっぽう航空機を活用した戦術を展開するべく空母を重視していたアメリカ軍、国力の差あれど4年半ちょい戦って結果はご存知の通りなわけです。空母はナチュラルに強いのも事実。

空母が戦闘機を展開し、まず得ようとするのは「制空権」です。裏を返すと空の支配を得るべく飛び立つ戦闘機の基地、つまり母なる存在であるということは、空母は実質は空の母と言っても過言ではないのかもしれません。

 

とはいえこの記事では空母自体のそんな兵器的な話をしたいわけではありません。ただ飛行機が発着できる船ならもっと安直な名前でもいいのに、なぜわざわざ「母」という文字を使い「航空母艦」と呼ばれるようになったのか。

シンプルに考えても特に「母」要素はないのですが、上記の通り擬人化を施すことで「母」要素を見出すことも可能です。軍がそんな潜考の上で趣を得ようとは考えにくい。戦場で余裕がないのは明らかなので、軍に求められるのは短い言葉で分かりやすく伝えることのできる「単純明快さ」なのではないでしょうか。

にもかかわらずどこの誰だか知らないが、飛行機を艦載する船に「母」という単語を用いて「航空母艦」と名付けたセンスの良い奴がいたのかもしれないというわけです。普段は明らかに伝わりやすさを重んじて考えそうなのに、センスの良さが光っているのにもまたロマンを感じています。そこを考えていきたいと思います。

 

そもそもなところ空母を直訳してみるとAir ctaft mother Carrierとかになるんですが、英語ではAir craft Carrierって言うらしいです。直訳すると航空機運搬艦「母」要素どこ?

ちなみに空母っぽい雰囲気の単語として英語にmother shipという単語が補給船的な意味でしっかり存在します。しかしこの“mother ship”を軍用艦に使うことは皆無らしいので、空母云々とは無関係な話っぽそう。

 

つまり「空母」とは日本における造語の可能性が高い。さすがは豊葦原の千五百秋の瑞穂の国、日本です。

目に映った情景や複雑な恋心さえも高度な語彙力や豊かな感受性を最大限用いた上で、韻を踏んだり対句を成り立たせたりと言葉遊びの要素まで、形の決まった短い文にしっかりと落とし込む事が出来る。そんな渾身の歌がこの国では古来より詠まれてきたのです。

少なくとも私には無理ですし、かつての全国民がそう出来たわけではないでしょうが、この国の歴史はそんなハイレベルな感性を持つ我々の先祖が紡いできたのは事実です。

戦前となると皇軍の軍人は「辞世の句」を詠んでから腹を切ることも少なくなかった。「母艦」という訳は戦前からあったのですから、少なくとも当時の時好として、現代よりも色濃くそのような文化が残っていたのは明らかでしょう。

話が逸れすぎたかもしれません。要は「航空機搭載艦」と訳すべきところで擬人化を通して「航空母艦」と名付けた、歌仙のようなセンスをした日本人がいたのではないかということです。

 

ということで、日本における「空母」という単語が使われてきた歴史に目を向けてみます。

調べてみると、海軍制度沿革 巻八という、つまりは帝国海軍の制度の沿革をまとめた書物内に海軍大臣ニ於イテ軍艦及水雷艇ノ類別及等級ヲ定メ若ハ其ノ變更ヲ行フコトヲ得セシメラルルノ件」という1898年3月21日に定められたとされている項目に水雷母艦」という記述がありました。「海軍軍艦とか水雷艇の基準を定めます」みたいな感じだと思う。「母艦」という表現はおそらくこの時に日本で初めて使われたっぽそう。

引用:国立国会図書館デジタルコレクション

なお、水雷母艦は英米だとTorpedo boat tenderと表記するらしい。

tender”とは英米海軍においては「飛行機などを搭載せず、海上での補給や乗務員の休養を図る基地機能を持たせたもの」と定義されています。

 

 

水雷を積んでるから「水雷母艦」なのではない?

 

航空機を積んでいるから航空母艦、なら水雷母艦は水雷を積んでいるべきでは?

 

そう、水雷母艦とは艦隊内の立ち位置が空母とは全く異なるのです。水雷母艦というのは駆逐艦水雷艇を中心とした戦隊内においてあくまで補助的な役割に過ぎません。

うーん、水雷母艦における「母的要素」は航空母艦における「母的要素」とは別なのか。水雷母艦を深く掘り下げつつ考えてみようと思います。

なお「水雷母艦」という単語は、「水雷を搭載した艦」を指すこともあり、これは航空母艦と同様の用法です。しかし、件の標準が制定された年に進水した「水雷母艦 豊橋」については「戦隊の母艦」と記述があります。つまり「母艦」という単語が初めて出てきた際も空母のように「水雷を積んだ艦」ではなく、補給艦に用いられていたのです。

釈然としませんが、他にもこの水雷母艦的な、補給艦的母艦として駆逐艦母艦」「潜水母艦というものがあります。補給艦的母艦ということでどちらも補給が主であり、潜水母艦に関しては潜水艦のように潜ることは不可能。

 

 

補給?

 

 

ちなみに空母っぽい雰囲気の単語として英語にmother shipという単語は補給船的な意味でしっかり存在します。しかしこの“mother ship”を軍用艦に使うことは皆無らしいので、空母云々とは無関係な話です。

引用: このページのうえのほう

mother ship”、直訳すると「母船」。英米では「民間の補給船」的な意味で用いられている単語ですが、軍艦に用いられることは皆無。

しかしここでこういう仮説が立てられます。民間の補給船に充てる“mother ship”を軍の補給艦にも同じように充てたのではないか?

 

上の方でも述べた通り、軍の補給艦にあたる英単語は“tender”であり、しっかりと別単語として存在するわけです。

しかし「母艦」というワードが初めて出てきたのは今から120年以上前の19世紀末。日本という国はやっと日清戦争に勝利したくらいの、鎖から解かれてまだ半世紀も経っていなかった頃でした。英語への解像度が低くてもおかしくはないし、そうでなくとも第一に日本語ではひとつの単語で形容出来るが英語では区別する単語なんてめっちゃあるわけです。*1

「母艦」も“mother ship”と“tender”という2つの意味を包含した日本語として成り立っているのではないか、という仮説。

 

現象には必ず理由がある。仮説は検証してはじめて結論を得られます。かの湯川先生のお言葉をお借りし、私なりに調べました。

し か し

残念ながら「母艦」という訳の充てられた経緯は国会図書館の史料を漁っても見当たりませんでした。なのでこの仮説も仮設の域を出ることは出来ません。でもこういうことな気がするなあ。

読んでいる皆さんは分かりませんが、私にはこの仮説がだいぶ現実味を帯びているように感じられるので、結構すっきりしています。モヤモヤしてるオタクはDMにレスバ仕掛けに来い。

 

そもそも「母艦」という訳がどのように生じたのかについては仮説が立ち、結局仮説のままでしたが書いている私が私なりに納得したのでこのブログ的な解決ということにします。

でもこの「母艦」の由来に関する仮説って上記の通り、あくまで補給艦を指す母艦の話なんです。そもそものギモンはそういえば航空母艦でした。

 

「母艦」と区分された船の中で「対象を搭載して作戦海域まで輸送し、作戦行動の後に収容して整備・補給を行う」という働きをする航空母艦の方がイレギュラーであるのは確か。何度も言っている通り「母艦」の初出は補給艦だったので、空母と補給艦の共通項を考えるべきかもしれません。

 

艦隊の中枢を成す航空母艦、他の艦に付随しあくまでもサポート的な役割を果たす補給艦...

 

堂々と艦隊のど真ん中に鎮座する航空母艦と、あくまで他の船にくっついてお世話をするだけの補給艦ということで、対照が際立ちすぎてもはや対称になってますね。これは違う。

 

対象を収容して整備や補給を行いつつ航行する航空母艦海上での補給や乗務員の休養を図る基地機能を持つ補給...

 

むむ???

 

史料があまりにもないため今回も共通点から推察する形になるのですが「何かを収容する働きを主とする艦」に対して「母艦」という名称を与えたという仮説が立ちました。史料ないから憶測なんだけど!!!!!

 

まとめです。

-「航空母艦」は英米では「航空機搭載艦」と呼ばれており、日本による造語である。

- 「母艦」という表現の初出は補給艦に充てたものであり、これは英米で民間の補給船を指す“mother ship”に引っ張られたのではないか。(仮説)

- 一見すると補給艦とは全く性格の違う艦である航空母艦だが、双方とも「対象を収用し補給を行う」という働きを併せ持っていることから「母艦」という訳が充てられたのではないか。(仮説)

結局この仮説が事実だとすると、「航空機搭載艦をめっちゃセンスの良い奴が母親のようだと形容した上で『航空母艦』を名付けた」というかつての私のロマンは打ち砕かれることになってしまいます。仮説が仮説で在ってくれるおかげで、可能性は大幅に下がりつつも私のロマンはロマンとして在り続けることが出来るのです。レポートとしては宜しくないけれども、自己満足的なブログ記事としては一番良い終わり方したのでは?

 

以上、ささいな興味を真面目に考えた駄文でした。私は高校時代に世界史を取っていたものの全然ガチ有識者ってわけではないので、この記事もあくまで素人の自由研究を眺めるノリで味わって頂ければと思います。

ここまで大体5,000文字弱ありましたが、写真もロクになしにただ主観や仮説に溢れたこの記事をしっかり読んでくれたあなたはとてもとても偉いです。

 

冬が明けるのも間近、まもなく新年度です。季節の変わり目ということで体調にはくれぐれもお気を付けください。花粉症の皆さんもぜひ頑張りましょう。では。

うん、明らかに空母ではないどころか海自の船でもないっすね でもこれしか写真なかった

3/24追記:国立国会図書館デジタルコレクションよりコンテンツの転載ページの記載内容に則って、「海軍制度沿革 巻八」内の該当ページの画像を貼りました。

3/24追記2:読んでくれたオタクに「読みやすかったし説得力があった」と褒めてもらいました。にやにやです。

それと同時に彼は航空母艦」という違う意味の熟語2つを組み合わせたのになぜ頭2字を取った略にならなかったのだろう、という違ったアプローチの掘り下げ方をしていました。非常に興味深い内容なので自分なりの考えを記事に追記しようかと思いましたが、「そもそもなぜ『母』という字を使ったのだろう」というこの記事の軸からは少し離れた話になりそうなので、機会を見つけて後日このオタクとこのネタを肴に酒でも飲んでみようかと思います。

とにかく、派生した新たな疑問が生まれるくらいこの記事をしっかりと味わってくれたオタクがいたことに感激してます。

私自身様々な考えに触れてみたいので、なんかしら自分なりの意見があれば上のオタク同様にツイートで共有しつつ、思うところをつぶやいてもらえると話が広がると思いますので是非。

*1:例:帽子(cap,hat)、豆(bean,pea)、肉(meet,flesh)など

一口目はハンドソープの味がした。

えっもう2月下旬?時の流れってやつはいつもいつもそんなに急ぐ理由でもあるんすかね。こんにちは。

 

私事ではありますが、今月5日に20歳になりました。成人祝いのあまりの額の多さにビビ散らかし、“大人になる”という事実の重さを感じております。

 

生誕20周年記念にお国はお酒やたばこを解禁してくれました。ありがたいですね。

たばこは吸うつもりもないんですが、お酒に関しては話は別です。以前からいろいろと期待を寄せていたのです。今日は20歳になってまだ半月しか経ってない現時点でのお酒の感想的なのを備忘録的に記そうと思います。

 

周囲の人間に話を聞いていると特にビールに著しく見られがちなようですが、お酒というものは飲めるようになりたての頃とある程度経った後で味覚が結構変わったりすることもある模様。もし自分もそうなった際にはかつての味覚をこうして振り返れるように、という意味での備忘録でもあります。

 

マジで飲めるようになりたてで、大体のお酒をあんま美味しいとは思ってない状態なので「いやいや美味いだろ」「お前の味覚が腐ってる」など物申したくなっても、そのようにお酒の美味しさが分かるくらいの大人の皆さんには「あくまで個人的な感想であり、所詮は酒に慣れてない人間の言っていること」として割り切って読んで頂けると幸いに存じます。

 

1.ビール

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- 苦すぎ!!!!!!!!!

- ハンドソープ飲んでるみたいな味がした

- これ飲むならもうハンドソープ飲むわ

一番飲んでみたかったやつにして初めて飲んだお酒。ド定番であるビールからです。

クソガキだった大体15年前くらいの私は、父親の飲むビールから漂っていた芳醇な香りに興味を示し、どうしてもビールの味が気になり、父親のビールをわざとこぼし、一口舐めたことがありました。苦くて苦くてそれはもう薬のようで堪らなかったのを今でもはっきり覚えています。おまけにバレてめっちゃ怒られました。妙な気は起こさぬべし。

味覚がガキだったのもあれど、そもそもあの頃父親が飲んでたビールが大して美味しくなかったんじゃね?ということで、大人になった今の俺が高級ビールを飲めば美味しいやろ、と初めて口にしたお酒がエビスビールでしたが、上に書いた通りとにかく苦くて全然ダメでした。俺だってハンドソープ飲んだことはないけど「ハンドソープの味」って言われればどれほど苦く感じたかなんとなく分かるでしょ?

「味の濃いものと一緒に飲むと美味い」と聞き母親に懇願ししょっぱめの唐揚げを作ってもらい、アサヒ・ザ・リッチで再度挑戦するもダメ。

しかしまあまだ諦めていません。サッポロクラシックハイネケンあたりはビールの苦手な人間でも飲みやすいと聞きました。機会を狙って飲んでみようと思っております。

だってビールを飲む人間ってみんなマジで美味しそうに飲むじゃん。飲めるようになりたい酒ランキング第一位です。

2.チューハイ

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- まあまあおいしい

- もう普通にこれジュースじゃね?

- でもそんなら普通にジュース飲むわ

エビスビールに悶絶し、すかさず開けたのが写真左のほろよい。このほろよいはカルピスソーダの味がしました。他にもぶどう系や梅系のものも飲みましたが、どれもちょっとビターなジュースって感じ。

全然美味しいけれど「酔った気持ち良さ」を知らない今は「お酒高いしもうそれなら普通にジュース飲むかなあ」ってなってます。あとそのGRATZってお菓子めっちゃ美味しいわ。

3.日本酒

 

- 😖←こんな顔から戻らなくなった

- シャボン玉液の味がします

- よくある質問「シャボン玉液とハンドソープってどう味違うの?」知らん

シャボン玉液も飲んだことないですが、なんとなく苦そうなのは想像に難くないかと思います。

熱燗を一口だけもらいましたが、マジで苦すぎてダメ。熱燗を美味しく飲めるタイプの大人になりたいなあって小並感。なんかもうほんとそれくらいしか印象がなく、書くことなくなりました。

番外編.ストロングゼロ

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- まずすぎてたまたまあったファンタと割って飲みました

- 頭が痛くなります

- マジで二度と飲まん

チューハイのところで一緒に語っても良かったんですが、ストゼロに関しては例外すぎたので別で書きます。

兼ねてから何かとやばいやばいと聞いていたストロングゼロ。その「やばさ」がプラスの意味かマイナスの意味かすら知らなかったけどやばいわなんなんこれ

まずぜんぜん美味しくない。飲んだストゼロはオレンジ味で、オレンジの渋い部分だけを飲んでる感じがしました。

そして悪酔いがひどい。秒で頭がだるくなってきたその日はいつもより数時間早く、22時くらいに寝ました。

寝落ちする直前までDiscordにいましたが、意味不明なメッセージばかりサンリオピューロランドの「ピューロ」の意味が分からないとキレ散らかしてたり、ファンタの味をあさり以外に知らないと言っていたり、とにかく終わりです。

 

そもそも自分の酒の強さについてですが、ちょうど昨日行った飲み会では大ジョッキのグレープフルーツサワーを色々あって処理することになり、焼き鳥を食べつつ割とハイペースで飲み干すことに。しかし意味わからんことを言う、吐き気、二日酔いなどは全くなかったのでまあ酒に弱くはないんじゃないかな、と正直思ってます。

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父親の家系が酒にめちゃくちゃ強く、浴びるように飲んでも笑うことが多少多くなるくらいで全然いつも通りな人たちばっかなのでその遺伝なのかなあ〜わからん

でも大学やTLでは酒に呑まれ暴れ散らかし醜態を晒すやつも散見されるし、これからも男として生きていくなら酒には強くてなんぼって感じだし、父親のように酒には強い方が嬉しいですね。

ただし限界まで飲んだことはないので、限度に関してはそのうちしっかりと把握しておきたいところです。

ただの感想文になっちゃいましたが、お付き合い頂きありがとうございました。何か初心者でもいけそうなお酒があれば教えてください。マジでチューハイしかロクに飲めません今。あとしばらくは暇なのでオタク各位は飲みも気軽に誘ってください。

それとそのうちでいいのでビールの美味しさが分かるようになれますように。では。